3.d4が狙うもの
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4の後のスコッチ・ゲーム。スコッチ・ゲームは1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4で始まります。白はビショップを展開する前に中央を突きます。3.Bc4のイタリアン・ゲームや3.Bb5のルイ・ロペスとの違いはここです。d4のポーンとf3のナイトがどちらもe5を攻撃し、e5を守っているのはc6のナイトだけなので、黒はほぼ必ず3...exd4と取ります。4.Nxd4の後、白は中央にナイトを置き、両方のビショップに開いた筋を得ます。代償は早い段階で緊張がなくなることで、黒の駒にも自由なマスが生まれます。
レーティング1200から1800のプレイヤーによるLichessの対局では、3.d4は2...Nc6の後の6局に1局ほどで、3.Bc4や3.Bb5よりかなり少なくなります。ここから白は53%勝っています。黒は4局に3局ほどd4のポーンを取ります。3...exd4の後、白は3局に2局を少し超える割合で4.Nxd4と取り返します。スコッチ・ギャンビットの4.Bc4は5局に1局ほど、ゲーリング・ギャンビットの4.c3と4.Ng5はそれぞれ20局に1局ほどです。
チェスメイトにはスコッチのコースが2つあります。黒向けスコッチ・ゲームのコースは8本のラインで、4.Ng5を除くよくある4手目すべてに答えます。白向けスコッチ・ゲームのコースは15本のラインがすべて4.Nxd4の後で、黒の7種類の応手を相手にします。
スコッチを選ぶとき、そしてその代償
白にとってスコッチは、開いた筋と繰り返し使えるプランを求めるプレイヤーに向いています。メインラインではNc3で展開し、クイーンをe2かd2に置き、ビショップをg5かf4に出し、ロングキャスリングすることがよくあります。代償は、黒が早い段階で困ることがめったにない点です。4.Nxd4の後、白は51%、黒は44%勝っており、ルイ・ロペスの3.Bb5の後に近い数字です。このレベルではギャンビットのほうが成績がよく、4.Bc4の後は55%、4.c3の後は56%ですが、白のコースはギャンビットを扱いません。
より大きな穴は4...Nxd4です。このレベルでは黒の最も多い応手で、対局の45%ほどを占めますが、白のコースにはこの手のラインがありません。5.Qxd4の後はクイーンが中央に陣取り、白が54%勝っているので、この交換は白にとって歓迎できるものです。それでも5手目からは自力で指すことになり、黒の応手もばらけています。5...d6が3局に1局ほど、5...Nf6が5局に1局、5...c5が7局に1局ほどです。コースは、黒が12局に1局ほど指す3...d6も扱いません。
黒にとってスコッチは白が選ぶオープニングなので、信頼できる答えが1つあれば十分です。黒のコースは4.Nxd4に4...Nf6と指し、すぐにe4を攻撃します。4...Nf6の後の黒の勝率は48%で、クラシカルの4...Bc5の後は46%です。代償はポーン構造です。5.Nxc6 bxc6の後、黒はc筋にダブルポーンを抱え、ミーゼス・バリエーションの6.e5ではf6のナイトが攻撃され、すぐに安全なマスを探さなければなりません。ギャンビットに対して、コースはポーンを守ろうとしません。4.Bc4には4...Nf6、4.c3には4...d5で答え、ポーンを返して素早く展開します。
黒のコースにも穴があります。4.Ng5のほかに、5.Nxc6 bxc6の後13局に1局ほど現れる6.Bg5を扱いません。ミーゼスでは7.Qe2は扱いますが、7.Bf4、7.f4、7.Be2は扱っておらず、この3つを合わせると白の7手目の3分の1を超えます。
4.Nxd4に対する黒
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nxc6 bxc6 6.e5 Qe7の後のミーゼス・バリエーション。e5のポーンはキングにピンされているので、ナイトを取れません。4...Nf6の後、白の最も多い答えは対局の半分を少し超える5.Nxc6で、5...bxc6の後、ミーゼス・バリエーションの6.e5がナイトを攻撃します。コースは6...Qe7で答えます。これで黒のクイーンと白のキングが同じe筋に並ぶので、7.exf6は指せない手になります。より人気のある6...Nd5は、このレベルでは成績がよくありません。黒はこの手の後45%、6...Qe7の後53%勝っています。
白は対局の半分を少し超える割合で7.Qe2と指してピンを外し、今度こそナイトは動かなければなりません。ほぼすべてのプレイヤーが7...Nd5とd5に跳ね、コースも同じです。8.c4 Nb6の後、サンプルラインは9.Nc3 Qe6 10.b3 a5と続きます。クイーンはf8のビショップをふさいでいたe7を離れ、e6からe5とc4をにらみます。10...a5はb3のポーンに対する...a4の準備です。白の最も多い10手目である10.b3の後、黒は59%勝っています。コースは9.b3、9.Nd2、9.g3も扱っており、9.Nc3と合わせると白の9手目の5分の4を超えます。
ここで知っておきたい選択が1つあります。c4のポーンをe2のクイーンにピンする8...Ba6は、8.c4に対する黒の最も多い答えで対局の半分弱を占め、8...Nb6より少し成績がよく、黒の勝率は53%対49%です。黒のコースは8...Nb6を指し、白のコースが8...Ba6を扱います。
白が6手目の4分の1ほどを占める6.Bd3を選んだら、コースは6...d5と指します。7.exd5 cxd5の後、ダブルポーンが解消し、黒は中央にポーンを持ちます。ラインは8.O-O Be7 9.Nc3 O-Oと続きます。より多い6...Bc5の後の黒の勝率は45%で、6...d5の後は50%です。
5手目の3分の1ほどを占める5.Nc3に対して、コースは5...Bb4でナイトをピンします。5...Nxd4 6.Qxd4の交換は白のクイーンを中央に呼び込み、白に55%を与えますが、5...Bb4の後は黒が50%勝っています。白はたいてい6.Nxc6 bxc6と交換し、これは5.Nxc6 bxc6 6.Nc3 Bb4の後と同じ局面です。コースは7.Bd3 O-O 8.O-O d5 9.exd5 cxd5と続けます。この局面はフォー・ナイツ・ゲームの3.Nc3 Nf6 4.d4からも生じ、黒向けフォー・ナイツ・ゲームのコースがそこから、白の10手目の5分の3ほどを占める10.Bg5と、10.h3、10.Re1に対して続けます。
クラシカルとミーゼスで指す白
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Nxd4 Bc5 5.Nb3 Bb6 6.Nc3 Nf6 7.Qe2 O-O 8.Bg5 h6 9.Bh4 d6 10.O-O-Oの後のクラシカル・スコッチ。白はロングキャスリングを済ませ、キングサイドのポーンを自由に進められます。白のコースはクラシカルの4...Bc5に5.Nb3で答えます。ナイトは黒がテンポを稼いで攻撃する前にd4を離れ、ついでにc5のビショップを攻撃します。このレベルでは5.Nxc6と5.Be3のほうがずっと多いものの、5.Nb3も成績は悪くありません。この手の後、白は52%、黒は44%勝っています。黒は10局に9局近く5...Bb6と退きます。
そこからのプランは繰り返しです。ナイトをc3へ、クイーンをe2かd2へ、ビショップの1つをg5かf4へ出してロングキャスリングし、キングサイドのポーンを進める前にf3でe4を支えます。サンプルラインは6.Nc3 Nf6 7.Qe2 O-O 8.Bg5 h6 9.Bh4 d6 10.O-O-O Be6 11.f3とこの順番どおりに進みます。黒が8...Nd4と飛び込んできたら、クイーンはd2によけ、9...Nxb3 10.axb3の後も白は2手後にロングキャスリングします。6...d6と6...Nge7に対しては、ビショップがf4へ、クイーンがd2へ行き、同じロングキャスリングとf3が続きます。4...Bc5のラインのうち、白がショートキャスリングするのは5...Bb4+のラインだけです。
4...Nf6に対して、コースはミーゼスの5.Nxc6 bxc6 6.e5を指します。6...Qe7 7.Qe2 Nd5 8.c4の後、最も多い応手は8...Ba6で、ここでコースは人気のある9.b3ではなく9.Nd2を選びます。このレベルではそのほうが成績がよく、白は9.Nd2の後48%、9.b3の後42%勝っています。コースは黒の主な応手2つを扱います。9...O-O-Oには10.b3 f6 11.g3 fxe5 12.Bg2と指し、g2のビショップがd5とc6への圧力を加えます。9...g6 10.Nf3 Qb4+には11.Kd1とよけ、12.b3でc4を守ります。
8...Nb6に対しては9.Nc3で展開し、9...Qe6に10.Qe4と答えます。クイーンがe5を守り、c6をにらみます。より多い10.b3は白の成績がずっと悪く、10.Qe4の45%に対して35%です。6...Ne4に対しては、コースは7.Qe2でナイトを攻撃し、7...Nc5 8.Nd2の後、白は展開してロングキャスリングします。まれな4手目の4...Bb4+、4...Qf6、4...Qh4、4...d6、4...g6には、それぞれ1本ずつラインがあります。
スコッチ・ギャンビットとゲーリング・ギャンビット
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Bc4 Nf6 5.e5 d5の後のスコッチ・ギャンビット。黒はc4のビショップを攻撃し、得したポーンを返す準備ができています。4.Bc4はd4のポーンを放っておいて展開し、f7を狙います。4...Nf6の後の盤面は、ツー・ナイツ・ディフェンスの1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.Bc4 Nf6 4.d4 exd4と同じなので、スコッチを指す人とイタリアンを指す人が別の手順から同じ局面に着きます。実戦的にも黒の最善の応手です。4...Bc5と4...h6の後はどちらも白が57%勝っていますが、4...Nf6の後は53%です。
白の最も多い5手目である5.e5に対して、黒のコースは5...d5と指し、この手の後の黒の勝率は54%です。ナイトの手は成績がよくありません。5...Ng4の後は白が58%、5...Ne4の後は55%勝っています。6.Bb5にはナイトがe4に跳び、ラインは7.Nxd4 Bd7 8.Bxc6 bxc6 9.O-O Bc5で終わります。黒の駒は出そろい、d5にポーンがあります。白が代わりに6.exf6や6.exd6と取った場合、黒はどちらでも62%勝っています。
白のほかの主な手である5.O-Oと5.Ng5は黒向けツー・ナイツ・ディフェンスのコースで扱い、このコースには上の5.e5のラインも入っています。4...Nf6の後5局に1局弱現れる5.Nxd4は、どちらのコースも扱いません。
白にとってスコッチ・ギャンビットはこのレベルで4.Nxd4より成績がよいものの、スコッチの白のコースには入っていません。白向けツー・ナイツ・ディフェンスのコースには、同じ局面に着いて5.O-O Nxe4 6.Re1 d5 7.Bxd5 Qxd5 8.Nc3と続くラインが1本あります。このラインが扱うのは5...Nxe4だけなので、4...Bc5、4...h6、5...Bc5への答えは別に用意する必要があります。
ゲーリング・ギャンビットの4.c3は、もう1つポーンを差し出します。黒は4局に3局近く4...dxc3と取り、その後は白が58%勝っています。黒のコースは4...d5で辞退し、この手の後の黒の勝率は50%です。5.exd5 Qxd5 6.cxd4 Bg4の後、ビショップがd4を守るf3のナイトをピンします。ラインは7.Be2 Bb4+ 8.Nc3 Bxf3 9.Bxf3 Qc4で終わり、クイーンがf1を押さえるので、白はキングサイドにキャスリングできません。9...Qxd4とポーンを取ると10.Bxc6+ bxc6 11.Qxd4でクイーンを失い、この手の後は白が84%勝っています。コースは、4...d5の後に白が5局に1局ほど指す5.e5を扱いません。
罠とよくあるミス
1.e4 e5 2.Nf3 Nc6 3.d4 exd4 4.Ng5 h6 5.Nxf7 Kxf7 6.Bc4+の後、黒は駒得していますが、キングの次の一手が勝負を決めます。このレベルで最も危険なスコッチの罠は、どちらのスコッチのコースも扱わない4.Ng5から始まります。ナイトがf7を狙い、黒の最も多い応手4...h6は5.Nxf7 Kxf7 6.Bc4+を招きます。するとプレイヤーの半分が6...Ke8と戻り、その対局で白は96%勝っています。7.Qh5+からキング狩りが始まるからです。ほかの手ならどれも黒は戦えます。6...Ke7、6...d5、6...Kg6の後、黒は51%から56%勝っています。この問題をまるごと避けたいなら、4.Ng5には4...Be7か4...Nf6で答えてください。どちらもほぼ互角です。
ミーゼスでは、f6のナイトが二度気をつける必要があります。6...Ng4は7.Qxg4ですぐにナイトを失います。クイーンが空いたd1-h5の斜線を通ってg4に届くからで、この取りの後は白が73%勝っています。6...Qe7 7.Qe2の後は白のクイーンがe5のポーンとキングの間に立っているので、7...d6や7...d5は8.exf6を許し、白が79%勝っています。覚えておくべき手は7...Nd5です。
4...Nf6 5.Nc3 Bb4に対して、自然な展開の手である6.Bd2と6.Bd3はミスです。どちらのビショップもd筋をふさぎ、d1のクイーンがd4のナイトを守れなくなるので、6...Nxd4で駒を取られます。黒は6.Bd2 Nxd4の後73%、6.Bd3 Nxd4の後71%勝っています。2つのビショップの手を合わせると、5...Bb4の後15局に1局ほど現れます。
シュタイニッツ・バリエーションの4...Qh4はまれですが、黒が53%勝っています。5.Nc3 Bb4 6.Be2 Qxe4の後、黒はピンされたc3のナイトが守れなかったポーンを取っており、自然な7.O-Oは駒を失います。d4のナイトはクイーンとc6のナイトに攻撃され、守っているのはd1のクイーンだけなので、7...Qxd4でナイトを取られ、この取りの後は黒が81%勝っています。白のコースは代わりに7.Nb5と指します。ナイトを逃がしながらNxc7+を狙う手で、この手の後は白が67%勝っています。
スコッチ・ギャンビットの5...Ng4は活発に見えますが、6.Bxf7+ Kxf7 7.Ng5+にはまります。キングが動かなければならず、8.Qxg4でナイトを取り返されます。駒の損得は元に戻りますが、黒のキングはもうキャスリングできず、6.Bxf7+の後は白が67%勝っています。
最初に練習すること
黒なら、2...Nc6の後6局に1局ほどスコッチに出会うので、信頼できる答えが1つあれば十分です。黒向けスコッチ・ゲームのコースをミーゼスのサンプルラインから始めてください。5.Nxc6は白の最も多い5手目で、6.e5は黒に正確な手が求められる場面です。続いて6.Bd3と5.Nc3 Bb4のラインを加えましょう。3.Nc3に3...Nf6で答えているなら、そのラインは黒向けフォー・ナイツ・ゲームのコースで続けてください。2つのオープニングが同じ局面に着くからです。ギャンビットの2本のラインは最後に、黒向けツー・ナイツ・ディフェンスのコースの4.d4のラインと一緒に覚えましょう。そうすれば白がどの手順で来てもスコッチ・ギャンビットに備えられます。4.Ng5も覚えておいてください。どのコースも扱っておらず、キングの手を1つ間違えるだけで負けてしまいます。
白なら、白向けスコッチ・ゲームのコースをクラシカルのサンプルラインとほかの4...Bc5のラインから始めてください。どれも同じプランを共有しています。続いて、8.c4に対する黒の最も多い答えである8...Ba6からミーゼスを覚えましょう。短い4...Qh4のラインも早めに加えてください。そこでは当然に見える7.O-Oが駒を失います。レーティング戦でスコッチを使う前に、4...Nxd4 5.Qxd4の後どう指すかを決めておきましょう。この交換は4.Nxd4の後の対局の半分近くで現れますが、コースでは練習しません。